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1. MGD(単線自動循環式) |
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MGDの例:ザ・ゴンドラワン(アメリカ合衆国/ベイルリゾート)
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MGDとは、支曳索x1の単線自動循環式と呼ばれる方式の索道。現在、デタッチャブル・ゴンドラの主流となっていて、一般にゴンドラリフトというとMGDをイメージする人も多い。支曳索とは、文字通り支索とえい索を兼ねるワイヤーロープのこと。
MGDは建設コスト、建設に要する期間、輸送力、安全性などすべてが平均的に優れているので、スキー場だけではなく、南米・北アフリカ・アジアなどで都市型ロープウェイとしての運行実績もある。
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2. BGD(複線自動循環式) |
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BGDの例:シンガポール・ロープウェイ・旧システム
(シンガポール:1989年撮影)。 |
BGDは、支索x1・曳索x1の複線(二線)自動循環式索道のこと。貨物索道がルーツの古い方式で、MGDの高性能化とATWの大型化、TGD/3Sの登場で絶滅危惧種になってしまった。現在BGDの現役路線は国内では1箇所(三重県)のみ。
写真のシンガポール・ロープウェイは1994年にMGDにシステム変更され、2010年には都市型ロープウェイとして大幅にリニューアルされた。
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3. 3Sロープウェイ/TGD |
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TGD/3Sの例:ピーク2ピーク・ゴンドラ(ウィスラー) |
TGDはケーブル構成が支索x2、曳索x1のデタッチャブルのこと。また、高い基本性能と安全性に加えてバリアフリーや環境問題(騒音・排ガス)にも対応したトライケーブルシステムであるドッペルマイヤーの3SシステムやライトナーのTD28の類義語としても使われる。
TGD/3Sの主な定義は以下のようになっており、既に国内では絶滅した支索x1、曳索x2の複線(三線)自動循環式とは別物。
索条:3本(支索x2・曳索x1)
グリップ:デタッチャブル
最大運行速度:27kph以上
最大速度:30kph以上
耐風安定性:100kmh+
輸送能力:最大6,000人/1時間(一方向3,000人/1時間)
可用性:ほぼ100%(20時間/日, 365日/年)
リフトシステム長:最大10km+
環境性能:CO,CO2,揮発性炭化水素,窒素炭化物,粒子状物質の排出 ≒ 0
クリーンかつ中短距離輸送能力の高いTGD/3Sシステムは、施設面積も従来の交通機関よりコンパクト。都市空間における交通システムに適しており、都市型ロープウェイとして期待されている。
3Sロープウェイについては索道レポートのコーナーでも紹介中。
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4. MGF(単線固定式) |
単線固定式索道は以下の2つのタイプに分けられる。
表記 |
名称 |
国内表記(用語) |
MGFP |
Monocable Gondola Fixed-grip Pulsed |
単線固定循環式 |
MGFJ |
Monocable Gondola Fixed-grip Jig-back |
単線固定交走式 |
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4-1. MGFP(単線固定循環式) |
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MGFPの例:タロフォフォ・ロープウェイ(グアム島) |
MGFPは単線固定循環式索道のことで、固定式リフトのチェア部分をグループ化されたゴンドラに置き換えたもの。
ハンガーがケーブルに固定されているので、停留場に着くとケーブル自体を減速、または停止させて乗降し易くする。動きが周期的になるのでパルスゴンドラとも呼ばれる。
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4-2. MGFJ(単線固定交走式) |
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MGFJの例: 榛名山ロープウェイ(群馬県) |
MGFJはジグバックのMGF。国内表記では単線固定交走式。
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5. ATW(交走式ロープウェイ) |
ATWの例: サリーレ・ゴンドラ(フランス/クーシュベル)
ATWとはAerial Tramwayの略で、交走式ロープウェイのこと。ATと表記されることもある。交走式については、上で書いたので省略。 |
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6. FT(フニテル) |
フニテルは2本の支曳索の間隔を、ゴンドラの横幅より広く取ったデュアル・グリップ(複式単線)の索道で風に対する安定性が高い。
3Sロープウェイ(TGD)と比較した場合、支柱のスパンが長く取れない、搬器のキャパが小さい(20人未満)などの点から現在まで都市型ロープウェイの事例は無いが、1Kmあたりのトータルコストはトライケーブルのシステムより低く押さえることができるため、国内でも比較的普及している。
フニテルは以下の4つのシステムがある。
表記 |
国内表記(用語) |
FT DMC |
フニテル DMC 自動循環式 |
FT DMC Jig-back |
フニテル DMC 交走式 |
FT DLM |
フニテル DLM 自動循環式 |
FT DLM Jig-back |
フニテル DLM 交走式 |
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6-1. FT DMC(フニテル DMC 自動循環式) |
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FT DMCの例:フニテル・デ・ペクレ(フランス/バルトランス) |
フニテルのケーブル構成には2つの方式があり、DMC (Double Mono Cable)とは、並列にセットした2本のケーブルループを同期させる方式。FT
DMCはこのケーブル構成を採用した循環式のフニテル。
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6-2. FT DMC Jig-back(フニテル DMC 交走式) |
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FT DMC Jig-backの例:フニテル・デ・ブクタン(バルトランス) |
FT DMC Jig-backは、DMCケーブリングのジグバックフニテルのこと。
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6-3. FT DLM(フニテル DLM 自動循環式) |
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FT DMLの例:蔵王ロープウェイ(山形県/蔵王温泉スキー場)
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FT DLM(Double Loop Mono cable)は、1本のケーブルループを複式にセットするケーブル構成の循環式フニテル。現在はこの方式が主流。
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6-4. FT DLM Jig-back(フニテル DLM 交走式) |
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FT DLM Jig-backの例:フニテル・デ・トランス(バルトランス) |
FT DLM Jig-backは、DLMケーブリングのジグバックフニテルのこと。写真のフニテルではキャパをカバーするため2連で運行している。
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7. FUF(フニフォー) |
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FUFの例:フニフォー・アラッバ(イタリア/ドロミテスーパースキー) |
フニフォーは、ジグバックフニテルの進化系で、2トラックの交走式ロープウェイと捉えることができる。
システムは二組別々の、スプライスされた曳索のループによって構成されている。この構成によってシステムが冗長化されているので、フニテルよりメンテ性と安全性に優れ、大型の搬器が使えるのでキャパの問題も解消されている。
短い懸垂器で駅舎を低層に造れる点はフニテルの利点を踏襲しており、3Sロープウェイと同じく国内デビューが待たれる索道のひとつと言える。
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