新設索道レポート|失われたロープウェイ

ドッペルマイヤー125ATW イタリア プラトーローザ
 イタリアのスキー場とロープウェイ 125ATW Plateau Rosa, Cervinia
【ドッペルマイヤー125ATW】
 イタリア / ヴァッレ・ダオスタ州・チェルヴィニア

今回は、イタリア最北端のヴァッレ・ダオスタ州にあるスキー場、チェルヴィニア(Cervinia)の索道レポート。

ここを訪れたのは2013年の3月なので、利用からだいぶ時間が経ってしまった 。

イタリアは20の州から成る国。北部はアルプス山脈に沿ってフランス・スイス・オーストリア・スロベニアとの国境になっている。チェルヴィニアから3本のロープウェイを乗り継ぐとプラトー・ローザ(ロザ高原)という標高3458mのアルプスの高地に着き、そこはもうスイス領。

ドッペルマイヤー ATW125ロープウェイ
Doppelmyar 125-ATWの精悍なフロントマスク。

今回レポートする索道はチェルヴィニアからプラトーローザまでの最後の区間であるラーゲ・チーメ・ビアンケ − プラトーローザ間を結ぶ125人乗りの交走式ハイスピード・ロープウェイで、2011-12シーズンのドッペルマイヤーのプロダクト・リストの表紙を飾った最新鋭キャビン、125ATWが採用された索道。

同区間に初めて索道が架設されたのは1939年。その後拡張、搬器や索条の架け替えなどを行いながら運行が続けられていたが、近年は輸送力増強のためのリプレイスが求められていた。

しかし、一帯は冬から夏にかけてスキー客・登山客がヨーロッパ中から訪れるモンテローザ屈指の人気エリア。同期間中は索道の運行を止められないことから、施工を担当するドッペルマイヤー・イタリアは工事を秋に集中的に行うことにして20年間に亘るメンテナンス・スケジュールを立て、2011年10月、竣工を迎えた。

その「メンテナンス」の内容は、山麓・山頂駅舎の建て替え・動力装置とブルホイール、シェーブ、ループ、索条、搬器の全交換で、実質的には完全なリプレイス。

イタリア側から見たマッターホルン
モンテ・チェルビーノ(マッターホルン)をバックに運行中の125-ATW。

ゴンドラの乗降場は完全なフラット。さらに鉄道のようにホームドアが採用されていて安全面とバリアフリーの配慮は万全。また、搬器の下部にはビデオカメラが搭載されていて山麓駅に設置された大型モニタで山頂付近の天候やピステの状態がリアルタイムで確認できる。

ブラックを基調としたゴンドラのフロントマスクはさすがイタリアという感じで、まるでスーパーカーのよう。

索道って、どれも見た目はあまりパッとしない乗り物だけど、これとウィスラーのピーク2ピーク・ゴンドラ(3S)だけは、初めて見た時、普通にかっこいいと思った。

ドッペルマイヤー 125ATW プラトーローザ 
プラトーローザ駅の乗降場は完全なフラットでホームドア設置。

なお、搬器の側面に書かれているCERVINO(チェルビーノ)とはイタリア語でマッターホルンのこと。アルプスの山は国境をまたいでいるものが多く、例えばモンブランはイタリアではモンテ・ビアンコと呼ぶ。

なので、イタリア側のスキー場とスイス側のスキー場を往復する場合は国境を越えることになる。実際、たまに抜き打ちのパスポートチェックがあるそうで、ホテルのスタッフが私たちのパスポートのコピーを取って持たせてくれた(パスポート本体は持たないようにと言われた)。

幸いチェックはなかったけど、行きは索道、帰りはスキーで国境超えというレアな体験ができた。

どうせなら抜き打ちに引っかかって、ゴンドラに乗る時に「入出国手続き」をやらされていれば、もっとウケたんだけどね。

イタリア側から見るマッターホルン
「あっちだ!」

チェルヴィニアの公式紹介ビデオ


索道データ
名称 125-ATW Plateau Rosa
事業者 Cervino S.p.A.
索道の方式 ATW
開業 2011年11月
キロ程 2,229m
高低差 645m
山頂駅標高 3,458m
山麓駅標高 2,813m
支柱 なし
速度(毎秒) 12m
搬器 2
最大乗車人数 125人
最大輸送能力(毎時) 最大3500人(両方向)
施工 Doppelmayr Italia
アイコン/素材

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