新設索道レポート|失われたロープウェイ

ニセコ HANAZONO シンフォニーゴンドラ
 ニセコHANAZONO Niseko HANAZONO Symphony Gondola

HANAZONO シンフォニーゴンドラ
ニセコHANAZONO シンフォニーゴンドラ。

今回はニセコHANAZONOリゾートで今シーズン(2021-2022シーズン)に新設されたふたつの索道「HANAZONOシンフォニーゴンドラ」と「HANAZONO第一リフト」についての現地レポート。


【HANAZONO シンフォニーゴンドラ】

シンフォニーゴンドラは10人乗りのMGDで、日本では初登場のPOMA社のプロダクト。

キャビンは、フェラーリなどのデザインで知られるイタリアの名カロッツェリア、ピニンファリーナによるブラックを基調とした洗練されたもの。

また、座席はヒーター内蔵の本革シートで、キャビンの側面に設置されたスキー・スノーボードラックも現行のマテリアルの形状に対応。

シンフォニーゴンドラは既存の索道のリプレイスではなく、中間駅を持つ完全な新設索道。それに合わせてゴンドラの路線沿いにビギナー向け緩斜面コース(ジューシーフルーツ・コース)が新設された。

シンフォニーゴンドラ
シンフォニーゴンドラと中間駅(右下)。

シンフォニーゴンドラのシステム面での特筆すべき点は、2S/3S両対応であること。

また、座席のヒーターは背もたれ部分まで温め、360度の展望を確保するため前後左右に配置された強化ガラスウインドウの凝結防止用の吸気口をキャビン底部に設けるなど快適な居住性とラグジュアリー感の演出も大きなウリとなっている。


ヒーター内蔵の本革シート

こういったインテリアとデザイン重視の傾向はここ数年の国内外のスキーリゾートに新設された索道に共通している。

なお、POMA社はドッペルマイヤー、ライトナーとともに御三家を形成する1936年創業のフランスの索道メーカー。POMAの索道はヨーロッパや北米のスキー場では普通にたくさん稼働しているので、このサイトでも何回かレポートしたことがあるが、国内では今回のシンフォニーゴンドラが初登場というのは、ちょっと意外な感じ。


【HANAZONO第一リフト】

HANAZONO第一リフトは旧・花園第一クワッドのリプレイス。

新旧ともにフード付き高速リフトだが、新リフトは6人乗りでシンフォニーゴンドラと同じPOMA製。シンフォニーゴンドラと同様に本革シートで従来の高速リフトの座席のようなベンチ式ではなく、シートがひとり分づつ独立しているプレミアム・シートを採用。

HANAZONO第一リフト
6人乗り(6-Pack)のHANAZONO第一リフト。

HANAZONOの場合、ベースから上に行くには必ず第一リフトを利用することになるので、クワッドから6人乗りになったことにより、動線がスムーズになることが期待される。


【ニセコHANAZONOリゾートについて】

ニセコHANAZONOリゾートはニセコ:ユナイテッド(ニセコ全山)の中では最も歴史が新しいスキーエリアで、開業はバブル経済末期の1992年。

もともとは、旧・ヒラフ(ニセコ国際ひらふ)の一部という位置付けで東急系列の資本により開発されたスキーエリアで、当時のヒラフは高原エリア(現・グラン・ヒラフ)と花園エリアで構成されていた。

その後、花園エリアは2004年にオーストラリア資本の日本法人(日本ハーモニーリゾート)に買収され、同社が2007年に香港の大手通信事業者PCCWの子会社(PCPD)に買収されたため、現在のHANAZONOは中国系資本のスキーリゾートということになる。

ニセコパークハイアット HANAZONO
パークハイアットニセコ HANAZONO。手前に伸びる青いラインはアクセス用の屋根付きムービングベルト。

HANAZONOの今シーズンの目玉は何といっても「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」の開業。ハイアットの最高級リゾートホテルブランド「パークハイアット」の進出は道内初。

パークハイアットHANAZONOの建物はユー・キロロ(キロロリゾート)、ザ・ヴェールルスツ(ルスツリゾート)などの最近の高級リゾートレジデンスによく見られる、左右シンメトリー風のデザイン。

パークハイアットHANAZONOの開業は、パンデミックにより停滞していたニセコの、アフターコロナに向けての本格始動が始まった印象を受けた。


【訪問記】2022年1月

毎年、元旦は北海道のスキーリゾートで迎えるようにしている。基本的にルスツ・ニセコ・キロロ・富良野をローテーションしているが、たまにトマムやサホロ、レースイなどがこれに加わる。

今年はニセコの順番が回ってきたが、タイミング良く新ゴンドラが開業してくれた。

昨年(2021年)の元旦は富良野だったが、パンデミックの影響で新千歳行きの飛行機はガラガラ、スキー場もホテルも人が少なく、ホテル(新富良野P)の従業員に聞いたところ、客数は例年の七割減という話だった。


昨年(2021年)の元旦の羽田空港の搭乗ゲート待合ロビー。搭乗開始10分前でこの状態

今年は昨年よりは少し増えた感じがしたが、旅客機の国際便の運航がまだ平常時に戻っていないので、昨年と同じくニセコ名物の外国人ゲストの姿は殆ど見かけなかった。

2017年のニセコのレポートでも書いたが、バブル崩壊後、ニセコ人気に火を付けたのはオージーで、その後も外国人ゲストは南半球や欧米からの外国人が中心だったが、2010年前後からアジア諸国のGDPの成長に伴うインバウンド特需で中国・アジア系富裕層が大挙してニセコを訪れるようになった。その頃はホテルのロビーで周りから聞こえてくるのは中国語ばかりという異様な状況に当惑したものだ。

インバウンドを当て込んだリゾート投資が最高潮に達していた2020年初頭、誰もが予想だにしなかったパンデミックが起きた。

ここ数年、北海道のスキーリゾートをとり巻く状況はめまぐるしく変化している。2031年には北海道新幹線がニセコ(倶知安駅)まで延伸される予定。

パンデミックがスキーリゾートにもたらした影響については、コロナが完全に収束し、データが揃った頃に改めて総括したい。


謹賀新年2022

ピーク2ピークゴンドラ 
名称 HANAZONO Symphony Gondola
事業者 Nihon Harmony Resorts KK
索道の方式 MGD
総延長 1,297m
高低差 TBD
速度(毎秒) TBD
乗車時間 5分
最大乗車人数 10人
最大輸送(毎時) TBD
マニファクチャ POMA

名称 Hanazono #1 Chair Lift
事業者 Nihon Harmony Resorts KK
索道の方式 Six-Pack High Speed Lifts
総延長 1,615m
高低差 346m
速度(毎秒) 5m
乗車時間 5分50秒
最大乗車人数 6人
最大輸送(毎時) 2,600人
マニファクチャ POMA



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