日本最初の天満宮として北野(京都)、大宰府(福岡)とともに日本三大天神として全国的に知られる防府天満宮が鎮座する、山口県防府(ほうふ)市。 | |||||||||||||||||||||
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毎年夏には名物の夜間納涼運転を実施するなど、防府のランドマークとして市民から永く親しまれてきましたが、設備の老朽化により昨年(2015年)、惜しくも廃止となりました。 山陰の山々をはじめ、視界の利く日には九州の国東半島や四国の佐多岬まで見渡せる景勝地として、またツツジの名所として古くから知られていた大平山は、市の最高峰。 テレビ放送設備の適地であることから、政府がテレビの一般家庭への普及に向けて1957年(昭和32年)に策定した「第1次チャンネルプラン」を受け、山頂にNHKと地元放送局のテレビ塔の建設が決定。 当時は山頂までの道路が整備されていなかったため、資材の運搬と作業者の輸送、テレビ塔完成後の設備管理用として索道の架設が計画されます。
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【訪問記】 2016年8月 山口県の瀬戸内海側に来るのは初めて。山陽自動車道の防府ICを降りるとすぐに、山頂にテレビ塔が建つ大平山が見えて来ました。 舗装された山道に入り、暫く進むと案内板が。このまま道なりで大平山山頂で、脇道に入ってしばらく進むとロープウェイ山麓駅のようです。 うーむ、駐車場に車を停めてロープウェイに乗り換える手間を考えると、このまま車で山頂まで行きたいのが人情というもの。山頂へのアクセス道路が整備されてからのロープウェイの苦戦ぶりが偲ばれます。 ではまず山麓駅から。写真は駐車場から山麓駅へのアプローチ。奥に見えているのが大平山で、左手前の赤屋根が山麓駅舎。駅舎は予想通りの昭和テイスト全開な造りの建物だったのに対し、駐車場がこの時代のロープウェイ山麓駅のものとしては比較的広いのが意外でした。 駐車場から山麓駅へのアプローチ。 防府市は太平山ロープウェイの施設の撤去スケジュールを公表しています。作業は段階的に行われ、現在は索条の撤去作業が進められているようで、既に支柱の片方向の索条がすべて撤去されていました。この後、支柱の撤去が始まる予定になっています。 次は山頂に移動。現地入りする前は、写真等を見てもちょっとイメージがつかめなかった太平山の山頂公園は、とても綺麗に整備された多目的市民公園でした。山頂駐車場から少し上ると、いきなり展望が開け、眼下に周防灘から瀬戸内方向の絶景が広がります。 瀬戸内の絶景と芝生広場。カブトムシとスイカの刈り込みがポイント高いです。 芝生広場や遊具スペースには家族連れの姿も見られ、広々として開放的な山頂公園は、防府市民憩いの場といった印象。 山頂公園のどこかでイベントでもやっているのか、さっきから園内の拡声器を通して賑やかに談笑する声が聴こえてきます。どうも喋っているのはEXILEのメンバーみたいです。山頂公園にEXILEが来ているのか、と思ったらFM放送でした。 山頂の西側にある山頂駅舎は来園者に開放中。前述の撤去スケジュールに「山頂に搬器を展示」とあったので、てっきり山頂公園の広場などに展示してあるものと思っていたら、なんと乗降場に、停車状態を再現するかたちで展示されていてビックリ。 山頂駅で公開展示中の大平山ロープウェイ2代目搬器。 搬器は、底部に架台を設置してアンカーボルトでホームに固定してあり、駅舎には職員が常駐しているので自由に乗ることができます。 交走式の搬器が同じ乗降場に向かい合って2台並んでいるのは、なかなかレアな光景。実は同じ光景が見られる現役路線の乗降場(中間駅ではない)もあるのですが、それは別の機会に索道レポートのコーナーで。 ロープウェイの待合室も来園者に開放中。大平山ロープウェイの往時の勇姿や資料が展示されており、地元の高校生と思われるグループが展示を見ながらロープウェイの想い出を語り合っていました。大平山ロープウェイの乗車記はこちらのサイト(歓喜の索道)で読むことが出来ます。 通常、ロープウェイは廃止が決まると施設は早々に跡形もなく撤去される場合が殆ど。そして何事も、かたちが無くなると、あっという間に人々の記憶からも消えてゆくものです。 運行していた駅舎を開放して乗降場で実機を公開展示、という例は自分の知る限り初めて。運行55年、十二分にその役目を果たした大平山ロープウェイは、今も防府の人々から大事にされていることを実感しました。 芝生広場や遊具スペースへのアプローチ。中央に見えるのが山頂駅。 |
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