新設索道レポート|失われたロープウェイ

スイス サンモリッツのロープウェイ
 サンモリッツ ピッツネイルロープウェイ  Piz Nair ATW, St.Moritz
【ピッツネイル・ロープウェイ】
2016/3/25 スイス / サンモリッツ


ピッツネイル・ロープウェイ

スイスのスキーリゾートは斜面に関しては素晴らしいのひと言に尽きる反面、ほとんどが19世紀に開発されたところなのでリゾートとしては正直いまいちアカ抜けない印象を否めない。

そんな中、洗練された正統派ヨーロッパ高級アルペンリゾートとして知られているのがサンモリッツ。


洗練されたアルペンリゾート、サン・モリッツ。しかし物価が高い。

サンモリッツはスイス南東部のグラウビュンデン州のエンガディン(Engadin)地方の主要都市で。日本でもおなじみの街。

エンガディンには大小あわせて11のスキー場があり、60本のCPTが運行している。

スイス サンモリッツ
山頂から氷結した湖を超えて対岸の街を結ぶ、サンモリッツ・バッド・ロープウェイ。スイスでは索道は普通に交通システム。

スイスは山が多いのでCPTが交通システムとして活躍している。CPT(Cable Propelled Transportation)とは、外部にある動力を伝えるケーブルによって推進する交通システム。すべての曳索式索道やケーブルカー(ラック式を除く)などがこれに該当する。

スイスのスキー場はとにかくケーブルカーが多い。

フニクラー(ケーブルカー)
コルヴィリア・フニクラー(コルヴィリア)


サンモリッツの場合、ロープウェイやフニクラーなどの規模の大きなCPTはコルヴィリア(Corviglia)という、サンモリッツを代表するスキーエリアに集中している。

サンモリッツでは1928年と1948年に冬季オリンピックが開催され、コルヴィリアは2回ともアルペン競技の会場だった。

今回紹介する索道はコルヴィリアから標高3024mのピッツネイル(Piz Nair)山頂までスキーヤー・スノーボーダーを運ぶピッツネイル・ロープウェイ。現在のシステムになったのは2002年なので「新設」と呼ぶのは微妙。


ピッツネイル・ロープウェイ山麓停留場


同ロープウェイはガラベンタの100人乗り交走式。スペック的には今どきのリバーシブルそのもので特に大きな特長はないのだが、山頂駅の標高3024mは自分が今まで利用した普通索道では4番目に高いもの。

なお、世界一高いロープウェイ山頂駅は、標高13000フィート(約3963m)のものが2014年に南米(ボリビア)にオープンした模様。ミ・テレフェリコというMGDの都市型ロープウェイだが、まぁ自分が利用することは一生無さそう。

因みに、都市型ロープウェイは、ヨーロッパや北米より、コロムビア・ベネズエラ・ブラジルなどの南米や北アフリカ、アジアに多い。都市型ロープウェイは、索道の方式としては3Sゴンドラが理想的だが、コストが高いので建設事例はMGDがほとんどというのが現状。

スイス ワールドカップ アルペン 2016
FISワールドカップ2016・男子スーパーG決勝の様子。優勝は地元スイス。

サンモリッツではちょうどFISワールドカップ2016が開催中で、街はライブイベントやエアーショーでおおいに盛り上がっていた。

2015-16シーズンのヨーロッパは雪不足でWCの会場の変更が相次いだが、サンモリッツは雪たっぷりで全く問題なし。3月でもピステのコンディションは最高だった。

サン・モリッツの公式紹介ビデオ


索道データ
名称 Piz Nair AT, Corvigilia, St.Moritz
事業者 St.Moritz Engadin Mountains
索道の方式 ATW
ゴンドラタイプ Gangloff Cabin1
開業 2002年
キロ程 2,418m
高低差 543m
山頂駅標高 3,024m
山麓駅標高 2,490m
速度(毎秒) 10m
搬器 2
最大乗車人数 100人
最大輸送(毎時) 720人
施工 Garaventa


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